トランス・ジェンダー生徒の学校生活
もう卒業式を終えたので小学校生活は終わりなのですが、年度末の忙しさから書けなかった記事を載せました。
カリフォルニアのパロアルトにある娘の小学校の生徒たちは、とてもバラエティに富んでいます。
娘が小学3年生で転校してきたときには、クラスの20%の子供たちが特別観察対象になっていて、補助教員が毎日数回、周ってきては、その生徒たちの机の上に張られた小さな紙に、時間帯ごとに行動の良し悪しを記載していました。
前の小学校では、観察していなくてはいけない生徒はほんの一部でした。
確かに、見ていても いろいろ大変な生徒が多くて、前の小学校よりも教員が多いのは頷けると思ったものです。
でも、そんな環境で、個性的な同級生たちを見て育ってきた生徒たちは、自分と違った特性の生徒たちを普通に受け入れられるようになっている気がします。
例えば、トランス・ジェンダーの子供たち。
小学高学年ともなれば、男の子グループ、女の子グループに分かれて固まることが多いのですが、その中で同性の友達ができず、異性の友達しかできない、それも、異性っぽい子たちがいます。
その一人がボブくん(もちろん、仮名)。
とても可愛らしい彼(女)は、お友達が持ってくる新しい小物や可愛いお洋服にとても敏感です。
「きゃぁ! かわいい!
これ、どこで買ったの!?」
と、ピンクの小物を見ては大騒ぎなので、もちろん、お友達は全員が女の子。
娘に近寄ってきて、質問してきた内容は、
「ねぇ、私、なにも失礼なこと聞きたいわけじゃないのよ。
でも。。。体重、どのくらい?」
娘と背格好が似ているので気になったのでしょう。
女の子らしい質問ですね。
そんな彼(女)が寄せ書きで自分のサインを書くときには、「ボブ」とハートを添えて書きます。
ハロウィンでは、ハイヒールまで履いて、かわいい女の子に変身することも。
そんなボブ君を回りはどう受け止めているかと言うと、これが、またすご~く自然なのです。
生徒たちがテーブルに分かれて座るときには、もちろん、ボブ君は女の子ばかりのテーブルへ向かいます。
男子の方が人数が多いので、男子テーブルから溢れた男の子が女子テーブルへ座ろうとすると、一人の女の子が、
「ダメよ! ここは女の子のテーブルなんだからっ!!」
そんなとき、ふと見ると、ボブ君も一緒になって、
「だめ~~~! ここ、女の子テーブル~~~!」
ボブ君は、やはり、クラスメートたちから見ても「女の子」なのでした。
また、体育の時間に先生が、
「男子と女子に分かれて!」
と言うと、ボブ君は仲良しグループの女の子たちと一緒に女子のグループへ。。。
先生は、察して何も言わなくなりました。
そんなボブ君にとって平和な小学校生活ですが、一度、ボブ君はクラスの男の子に聞かれたことがありました。
「ねぇ、ボブ。
どうして、君は女の子みたいなの?
君は、本当は男の子なの? それとも女の子なの?」
そのとき、ボブ君は笑顔で答えました。
「男の子でも女の子でもないの。
私みたいな子は、Goyって言うのよ。
GirlとBoyが半分半分!」
なるほど。
身体が男の子、心が女の子、だものね。
ボブ君も、そのままの自分を受け入れているのでしょう。
ふ~ん、と半分納得した感じの男の子たちでした。
アメリカの小学校の生徒たちが、皆、どこでもこのように、そのままの生徒を受け入れられるのかはわかりませんが、この学校はボブ君にとっては理想的な学校だったのではと思います。
トランス・ジェンダーを取り扱った本を小さいときから目にしたり、話を聞いたりして、他人を受け入れられやすい環境なのかもしれません。
これから思春期になって、ボブ君たちは悩みが多くなるのではと思いますが、今のようにたくさんのお友達に囲まれて笑顔で生活してほしいですね。
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