公立中学の学校オーケストラ♪
小学校高学年のお子さんたちを持つママたちから、よく中学の学校オーケストラについて聞かれます。
「うちの子、学校で弦楽器を習い始めたばかりで下手なのだけど、中学になったら学校オーケストラに入れて大丈夫だと思う?」
逆に、
「うちの子は、小さい頃から楽器を習っていてある程度は弾けるから、学校オーケストラはレベルが低すぎてつまらないかしら。」
などと心配されているのです。
学区によって教育にかなりの差が出るアメリカでは、学校オーケストラといっても学校によって大きな違いがあります。
同じシリコンバレーでも少し離れた ある市では、弦楽器を知らない先生が学校オーケストラ・クラスの担当になるそうです。
その先生はクラスを任されることが決まった新年度の数ヶ月前に楽器屋さんでバイオリンをレンタルしてきて教本を読みながら弾き方を学んで教えているそうです。
そうなると、当たり前ですが小さい頃から楽器を学んでいる生徒の方が知識も技術も高くなってしまいます。
事前に学校のオーケストラ情報を得た友人は、結局、娘さんを中学の学校オーケストラには入れないことにしました。
パロアルトでは、他の地域よりも高い寄付金を要求されるので、その分、音楽教育にも還元されています。
学校オーケストラの先生は音楽家の方々が担当されるめ、学校オーケストラにも上手な生徒たちが入ってきます。
ただ、学校オーケストラは誰にでも門戸を開いているので、生徒には かなりなレベル差があります。
学校オーケストラに入っている子たちは、主に3グループに分かれているそうです。
第一グループは、小さい頃から弦楽器を習い、とても弦楽器が好きで、積極的に練習に励んでいる子供たち。
第二グループは、小さい頃から弦楽器を習っていて嫌いじゃないけれど、他の選択科目よりはオーケストラの方がいいかな、という消極的にだけれど練習をする子供たち。
第三グループは、小学校高学年の頃、急に親から習わされ、中学でもオーケストラに入ることになってしまったという子供たち。また、小さい頃から習っているけれど、本人は特に好きでもなく一週間の練習時間とプライベートレッスンの時間が同じになってしまう子供たち。さらに、プライベートの先生を持たない子供たちも。
それぞれのグループは、すべて同じ人数くらいいるそうです。
まだ幼いからか、娘が見ても一見してどのグループに属する子かどうか授業態度でわかってしまうらしいのです。
(座っている様子から違うらしい。。。)
第三グループの子たちは、特に男の子たちが面白く(?)、よく先生に怒られています。
チェロの壊れて取れたヘッドを頭に乗せては「コッコッコッ!」と鶏になってみたり、弓が一本取れれば釣りをしてみたり、友達をくすぐってみたり、曲の最後にわざと変な音を出して笑わせたり。
ちなみに、チェロのヘッド部分とは、ここ→のことです。
授業中にふざけるのが悪いことなのは確かですが、その楽しい想像力には思わず笑ってしまいます。
このように どのような生徒でも受け入れてもらえるため、基本的にまじめな日本人の子供達は「9歳、10歳で習い始めたけれど大丈夫?」などと心配する必要はないのです。
先生はどんな生徒に対してもまじめにきちっと叱り、弾き方を直し、時にはプライベートの先生をつけた方がいいと先生を斡旋したり、少しでもいいオーケストラに仕上げようと努力しているそうです。
ここまで聞くと、やっぱり学校オーケストラってレベルが低い?と思われてしまいそうですが、第一グループのきちんとした生徒たちもたくさんいます。
ユースオーケストラに属している子や、時には そのユースオーケストラでソロを弾く子、弦楽器のコンクールに出ている子、様々です。
そのため、先生は年に数回あるコンサートの前にはソロオーディションを開いてくれます。
第一グループの子供たちがオーディションを受け、受かった子がコンサートでソロを弾かせてもらえるのです。
娘は9歳でバイオリンを習いだし、バレエのために学校オーケストラの修学旅行(年に一回、ディズニーランドに行きます)にも参加せず、学校のチャンバーオーケストラのクラブ活動(週一回、学校が始まる前にあります)にも参加していませんが、そういった状況にもペナルティを課さず、公平に評価をもらい、コンサートでソロを弾かせてもらいました。
生徒ができる範囲での努力をきちんと見てくれているそうです。
こんな、バラエティーに富んだ生徒たち全てに真剣に対応してくださる先生には、いつも頭が下がる思いです。
音楽教育に力を入れている市の学校オーケストラは、どんなお子さんでも(個人的には)「弦楽器が好きなら」特にオススメです。
最近のコメント